
上井草は東京都と埼玉県にまたがる武蔵野台地の上にあります。この台地は、多摩川の流れが運んできた土砂が十数万年をかけて堆積して生まれた扇状地として知られています。その上につもった火山灰が、関東ローム層の「赤土」です。
「武蔵野」ははじめはひとの住まない原生林でしたが、平安時代には見渡すかぎりの草むらにかわりました。江戸期には開墾され、雑木林や屋敷森が点在する旧上井草のような「近郊農村地帯」が生まれたといいます。

武蔵野台地のかたちを「扇」に例えるなら、多摩川と荒川が二本の「親骨」で、青梅市付近が扇の「かなめ」にあたります。青梅市を起点に波紋のように等高線が描かれる地図を想像してください。その波紋の半ばあたりに位置するのが標高五十メートルの等高線。上井草に坂が多いのは、じつはこの標高五十メートルの等高線がまちなかを通っているからです。

武蔵野台地を伏流してきた地下水はこの標高五十メートルの崖線のあちこちで湧水となって地表に現れ、三宝寺池、善福寺池、井の頭池などの水辺の風景を作っています。

石神井公園三宝寺池

善福寺公園